電車に乗っている時くらいしか本を読まないんだけどこの本はそれに適してる。なんで電車で本を読むのかっていうと東京の電車は隣に立ってる人の鞄がずっと足にあたっているし前にすわってるおじさんは足がこっちに出過ぎてじゃまなので僕は立って本を読む。座れたら考え事をする。この作家は有名人だけどもしかしたらあんまり知られていないのかも。なにも事件が起きない系短編の名人それ以上の存在。たとえば「収集」という短編が有名かも。無職の男の家に掃除機のセールスマンが来て帰っていくだけの話し。村上春樹と柴田元幸の「翻訳夜話」で両人が翻訳したりもしてる。
ぼくが若い頃なんでもいいから本を読みたい時に人々がすすめてくるのはみな推理小説で、それでぼくは本ってつまらないなと思ったものだが事件が起きない系短編に出会ってから小説が好きになった。実際には事件というほどではないけれど出来事の描写がある。それからたまに不可解なというかなんというか、数ページ使って作り上げた状況にまったく関係の無い小さな出来事が起こってすぐに元のすじに戻る。作品の中でその小さな出来事はそれ以上触れられることはない。現代音楽のようだ。たとえばバルトークの弦楽四重奏第五番。
2013年7月3日水曜日
読書感想文 レイモンド・カーヴァー傑作選